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種類: Thesis or Dissertation
タイトル: ターミナル期にあるがん患者の自己の支えを振り返る体験
タイトル別表記: Terminally Ill Cancer Patients
著者: 廣岡, 佳代
著者名ヨミ: ヒロオカ, カヨ
発行年月日: 2005
抄録:  現在、日本では4人に1人ががんで死亡している。がん患者の多くは、トータルペインと呼ばれる身体的、精神的、社会的、そしてスピリチュアルな側面からなる痛みを経験している。患者は、ターミナル期になることで死の近づきを認識し、未来の喪失や自己の無価値などから生じるスピリチュアルな痛みをあらわすことが多い。しかし、そのようななかでも、患者は自己のありようを再確認し、その人らしく生きていくことがあり、臨床でもそのような患者に出会ってきた。また、ターミナル期においては、自己の体験を振り返りながらその人らしさを維持することも多い。そのため、患者本来の在り方に重点を置いた看護ケアを検討していくために、ターミナル期にあるがん患者の体験を明らかにする研究が必要となる。  本研究は、5名の緩和ケア病棟に入院中のターミナル期にあるがん患者の語りから、自己の支えを振り返る体験を明らかにする質的記述的研究である。その目的は、患者の体験を記述し、その意味を探求し、その内容から患者がその人らしさを維持し、よりよい時間を過ごすための看護援助を検討することである。  自己の支えを振り返る体験の意味をまとめた結果、【他者とのつながりのなかで、その人らしさを保つ】【肯定的に受け止め、その人らしく在る】【その人らしさを高めていく】の3つが見出された。【他者とのつながりのなかで、その人らしさを保つ】とは、研究協力者にとって重要な存在である他者との関係を振り返ることでの気付きや再確認から得られるものであり、これは、今の自己を成り立たせる基盤や安心できる存在を確認することを意味していた。【自己を肯定的に受け止め、その人らしく在る】とは、辛い状況にある自己を否定するのではなく、その状況そのものに向き合い、また、そこに置かれた自己を見つめ直し、そのなかでどう在るかと考えていくことを意味していた。そして、これまでの自己を振り返り、自己がどう在ったか、どう生きてきたかと考え、その人らしさというものを確認することでもあった。【その人らしさを高めていく】とは、研究協力者がこれまで自らが行ってきた好きなことや仕事の振り返りを通して、その事柄の意味や価値を見出し、また、自分らしさの感覚を高めることで、よりその人らしく在ることを意味していた。  また、ターミナル期にあるがん患者の振り返る体験の意味をまとめた結果、【自己のありようや振り返った事柄との関係を再確認し、それを生きる力へとつなげていく】【記憶を編み直し、過去の出来事への理解を深める】【意識を広げ、生きる力を得る】の3つが見出された。【自己のありようや振り返った事柄との関係を再確認し、それを生きる力へとつなげていく】とは、振り返りを通して、あらためて気付いたり、再確認することで、自己をまとまりのある存在として見出し、充実感を得て、残りの生をその人らしく生きていくことを意味していた。【記憶を編み直し、過去の出来事への理解を深める】とは、現在の置かれている状況から過去へと遡って振り返ることで、これまでの記憶や出来事をひとつのまとまりのあるものとして理解し、それを現在の自己の在り方ともあわせて考え、過去の出来事を受け止めたり、その意味を見出すことを意味していた。【意識を広げ、生きる力を得る】とは、イメージすること、あるいは、絵や写真から感じ取ってきたものへと意識を広げることで、新たな観点から自己の在り方を見出し、辛い状況のなかを自分らしく在れるというゆるぎなさや生き続ける励みを得ることを意味していた。  以上、研究協力者は、自己の支えの振り返りを通してあらためて気付いたり、再確認し、困難な状況のなかでもよりその人らしく在ることを求め、生きようとしていることがうかがえた。看護者は、ケア提供の時間が限られた緩和ケア病棟という場において、患者がその人らしく在れるようなケアを提供するため、患者がこのような体験をしている存在であることを理解し、患者の体験に関心を向け、その意味を理解することが必要であると考える。また、自己の支えへの振り返りを促し、気付きや再確認を図るために、看護者はまず、他者とのつながりのなかに在ることへの気付きを促すこと、また、日々の関わりのなかから、その人らしさを見つけること、患者が自然に語れる環境を作るように努めることが必要であると示唆された。これらは、緩和ケア病棟に入院中のターミナル期にあるがん患者への看護として新たな手掛かりを示すものと考えられた。  本研究は、現象学的アプローチに基づいたが、これは、研究者の事態への接近が要請される方法であり、研究者の能力の影響、また、先入観や偏見などのデータへの影響が限界として挙げられた。今後は、他の観点からも研究を重ね、その成果からターミナル期にあるがん患者がその人らしく在れることを支える看護を検討していくことが課題である。
注記: 聖路加看護大学大学院看護学研究科修士課程
修士論文
2004
小松浩子
要旨あり
リンクURL: http://hdl.handle.net/10285/1069
出現コレクション:2-1-b:修士論文(要旨あり)

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