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| 種類: | Thesis or Dissertation |
| タイトル: | 入院患者の朝の生活の構造 |
| タイトル別表記: | The Structure of the Early Morning Life for Inpatients. |
| 著者: | 大橋久美子 オオハシ クミコ |
| キーワード: | 入院患者 朝 入院生活 モーニングケア 入院環境 患者心理 |
| 発行年月日: | 2007 |
| 抄録: | 【背景】 生活行動援助は基本的看護援助(Henderson.1969)であり、患者自身が持つ自己回復力(Nightingale.1860)やセルフケア能力を引き出し支える(Orem.2001)ことなどを含めた看護援助が従来から重要な看護の役割とされている。しかし日本の病院看護は、療養上の世話についても看護師側から医師の指示を求める状況があり、生活行動援助は単なる慣習として行われ、看護師などの役割や責任について認識不足等が背景にある(厚生労働省.2003)といわれている。また、慢性疾患患者や高齢者の増加から従来以上に患者の自己回復力を引き出し支える働きかけの必要性が高まっている(厚生労働省.2003)ことから、慣習化している生活行動援助を看護の専門性の視点から見直し、患者の力を引き出すような効果的な援助方法を構築していく必要性を考える。慣習化・簡略化されるモーニングケアも、改めて見直し検討する必要のある生活行動援助であると考える。まずは入院患者の朝の生活の構造を捉える基礎研究を行い、その結果から看護におけるモーニングケアの意義や目的を明確にし、方法論の確立につなげていけると考える。 【研究目的】 入院患者の朝の生活場面に存在する行動、反応、行動や反応にかかわる項目を抽出し、入院患者の朝の生活の構造を明らかにする。またモーニングケアの新たな方向性を見出し提言する。 【研究方法】 研究デザイン:質的記述的な継続比較研究。 対象施設:便宜的に選ばれた、私立、公立の総合病院2箇所。 対象者:条件を満たす整形外科疾患で安静療養中の入院患者11名と、観察日に患者に援助を行う看護師。データ収集期間・方法:2006年7月から11月。ガイドを用いた半構成的面接と参加観察。 分析方法:継続比較分析を用いて、対象患者の面接逐語録からコード化カテゴリー化をすすめ、その時点で抽出されたカテゴリーについてはカテゴリーの空間配置を行いながらその関係性を図式化し検討を続けた。 【結果】 1.入院患者の朝の生活は、5つの側面【目覚めて、待機と生活行動の中で過ごしていく入院患者】【夜から朝へと動き始める生活環境】【朝の要望と状況認識から生じる思いの狭間で過ごす入院患者】【朝の変化の中で変動しながら次の生活にむかう朝の気分】【一日の生活へつながる朝の生活観】から成り立つことが明らかになった。 2.【目覚めて、待機と生活行動の中で過ごしていく入院患者】の行動は、【夜から朝へと動き始める生活環境】と【朝の要望と状況認識から生じる思いの狭間で過ごす入院患者】と相互に関係しながら存在した。 3.【朝の変化の中で変動しながら次の生活にむかう朝の気分】は、【目覚めて、待機と生活行動の中で過ごしていく入院患者】の行動に伴い生じる気分の変化であり、ともに存在する【夜から朝へと動き始める生活環境】【朝の要望と状況認識から生じる思いの狭間で過ごす入院患者】とも関係していた。 4.朝の生活全体を意味づける思考として【一日の生活へつながる朝の生活観】の存在が明らかになり、【目覚めて、待機と生活行動の中で過ごしていく入院患者】【朝の要望と状況認識から生じる思いの狭間で過ごす入院患者】【朝の変化の中で変動しながら次の生活にむかう朝の気分】との関係が推測された。 5.整形外科疾患で安静療養中の入院患者の朝の生活は、【一日の生活へつながる朝の生活観】を背景に、【夜から朝へと動き始める生活環境】の中で【朝の要望と状況認識から生じる思いの狭間で過ごす入院患者】という心の中の模様と【目覚めて、待機と生活行動の中で過ごしていく入院患者】という朝の生活が進む様子が示され、その流れの中で【朝の変化の中で変動しながら次の生活にむかう朝の気分】という気分の終着点をむかえ、朝の生活全体が次の生活にむかっていく方向性を持つ構造が明らかになった。 【考察】 構造から、朝の生活の中で患者が求める行動と朝を気分よく過ごしたいと考える患者の思い、さらにそれらにかかわる環境や状況の存在等の朝の生活の特性を考察し、既存のモーニングケアでは不足する内容が示された。入院患者の朝の生活は「一日の生活がこれからはじまるにあたり、心身ともに準備が整い気持ちがよく安心して一日にむかえること」にあると考え、入院患者の視点に基づく朝の生活行動援助としての新たなモーニングケアの意義・目的・内容を提案した。今後の課題として、継続比較を繰り返し朝の生活の構造を見直していくこと、本研究と特性の異なる対象者や朝以外の時間帯での生活構造を研究することによって、入院患者の朝の生活の知識を深め発展させる必要がある。モーニングケアのプログラム開発と評価のための基礎データが得られたことは、看護師の行う朝の生活行動援助技術の確立への前進と考える。 |
| 参考文献: | Abraham H,Maslow(1970).MOTIVATION AND PERSONALITY(second edition).小口忠彦訳(1995).人間性の心理学 改定新版.産業能率大学出版会. 赤沼智子,佐々木めぐみ(1996).患者の看護師に対する遠慮とその影響因子-援助を求めることへの抵抗感について-.第27回日本看護学会論文集 看護総合.149-151. 東栄子(1997).患者-看護婦間における入院患者の気兼ねの実態.神奈川県立看護教育大学校 看護教育研究収録.22.37-42. Fegerhaugh,S.Y.(1982).参加観察法.看護研究.15(3).242-255. 藤田恵(1999).患者にとって満足度の高い足欲への取り組み モーニングケア・イブニングケアの充実に向けて.看護実践の科学.24(8).18-23. 藤原愛子他(1993).申し送り形態の変更により時間短縮とモーニングケア・環境整備を併行して実施した結果について質問形式の導入.回生病院医学雑誌.2(1).38-39. Henderson,Virginia(1969).BASIC PINCIPLES OF NURSING CARE.湯槇ます,小玉香津子訳(1995).看護の基本となるもの.日本看護協会出版会. Henderson,Virginia and Nite,Gladys(1978).PRINCIPLES AND PRACTICE OF NURSING(sixth edition).荒井蝶子他監訳(1979).看護の原理と実際<第3巻>基本的ニードと援助.メジカルフレンド社.188. 堀井直子(2003).患者-看護師関係に影響を及ぼす要因 人間関係を阻害または発展させる看護師の態度要因.神奈川県立看護教育大学校 看護教育研究収録.No.28.49-56. John Cohen(1967).Psychological time in health and desease.小野章夫,佐竹静江訳(1971).時間の心理 その正常と異常.協同出版株式会社. 加島博美他(1990).モーニングケアの確実実施を目指して 業務改善の見直しから.看護実践の科学.15(7).73-75. 河渕緑(2003).モーニングケアとイブニングケアの試み.OTジャーナル.37(10).998-1002. 河渕緑他(2004).回復期リハビリテーション病棟におけるモーニングケア・イブニングケアと作業療法士・理学療法士のかかわり.14(9).59-62. 川島みどり(1985).CHECK IT UP 日常ケアを見直そう①あなたの職場の看護チェック.医学書院.1-17. 川島みどり(1997).「療養上の世話」の変遷―たかがモーニングケアというなかれ.看護学雑誌.61(7).686-689. 見藤隆子他編(2003).看護学事典.日本看護協会出版会. 厚生労働省(2003).新たな看護のあり方に関する検討会報告書.2006.3.22.http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/03/s0324-16.html 厚生労働省(2004).新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会報告書. 2006.3.22.http://www-bm.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/s0310-6.html 松尾典子(1992).モーニング・ケア、イブニング・ケア実施に当たっての問題と課題.看護実践の科学.17(9).19-23. 明円美幸他(2002).外来患者の待ち時間に関する実態調査-許容待ち時間と待てる理由-.日本看護学会論文集 第33回看護管理.140-142. 中西祥子,布施淳子(2003).待ち時間における音楽傾聴時の心理時間と多面的感情との関連.日本看護学会論文集 第34回看護管理.380-382. 野上聡子,川島みどり(1990).モーニングケアが患者の睡眠・覚醒リズムに及ぼす影響.日本看護科学会誌.10(3).84-85. NHK放送文化研究所編(2002).日本人の生活時間・2000-NHK国民生活時間調査―.に本放送出版協会. Nightingale,Florence(1860).NOTES ON NURSING What it is and What it is not.小林章夫,竹内喜訳(1998).対訳 看護覚え書.うぶすな書院. 日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会編(2005).看護行為用語分類 看護行為の言語化と用語体系の構築.日本看護協会出版会. 岡田かなえ他(1986).モーニングケアの見直し.川崎市立川崎病院内看護研究集録41号.2-5. 大跡瑞子他(2001).朝食の介護 身体障害者療護施設におけるモーニングケアを見直す.旭川荘研究年報.32(1).126-127. 大川匡子(2000).概日リズムと睡眠障害-ICU患者への治療へのアプローチ-.ICUとCCU.24(6).389-395. 大戸香他(1998).朝の検温廃止に伴うモーニングケアの確立について考える.福島県農村医学会雑誌.40(1).114-116. Orem,Dorothea E.(2001).NUSING:CONCEPTS OF PRACTICE(sixth edition).小野寺杜紀訳(2005).オレム看護論 看護実践における基本概念 第4版.医学書院. 末田聡美,阿部俊子他(2005).入院体験における患者の満足度と医療者への期待に関する研究.看護展望.94-100. Strauss,Anselm and Corbin,Juriet(1998).Basis of Qualitative Research:Techniques and Procedures for Developing Grounded Theory(second edition).操華子,森岡崇訳(2004).質的研究の基礎 グラウンデッド・セオリーの技法と手順 第2版.医学書院. 得田恵子(1993).看護婦の認識と業務の多忙度がモーニングケアに与える影響について.日本看護学会第4回集録看護管理.95-98. 豊田絵美他(1997).モーニングケアを構成する要素と満足度の関係.整形外科看護.2(1).104-107. 頓所ひろ子他(2000).患者との関わりを増すための看護-モーニングケア時にケアプランカードを活用して-.日本精神科看護学会誌.43(1).136-138. 堤雅恵(2000).老人施設におけるモーニング・ケアの実態と課題.山口県立大学看護学部紀要 第4号.50-56. 牛込三和子(1982).基本的ケアの実態と問題点-モーニングケアからイブニングケアまで-.看護実践の科学.7(2).26-44. 和書 井上幸子他編(1999).看護学体系10看護における研究.日本看護協会出版会. 薄井垣子、小玉香津子編(2002).系統看護学講座専門2基礎看護学[2]基礎看護技術(13版).医学書院.146-147. 内薗耕二他監,井出千束他編(1992).看護学大辞典.メヂカルフレンド社. 杉野佳江編(2003).標準看護学講座13巻 基礎看護学2(第5版).金原出版.378. 千葉喜彦(1996).からだの中の夜と昼 時間生物学による新しい昼夜観.中央新書. 千葉喜彦、高橋清久編(1991).時間生物学ハンドブック.朝倉書店. 野口美和子監訳(2000).ナースのための質的研究入門 研究方法から論文作成まで.医学書院. 和田攻他編(2002).看護大事典.医学書院. 洋書 Holloway,Immmy and Wheeler, Stephanie(1996).Qualitative Research for Nurses. Kozier, Barbara et al.(1991).FUNDAMENTALS OF NURSING CONCEPTS PROCESS AND PRACTICE(Fourth Edition).ADDISON-WESLEY Publishing company.507. Polit,Denise F.and Phungler,Bernadette(1987).NURSING RESERCH:Principles and Methods(Third Edition).近藤潤子 監訳(1994).看護研究 原理と方法.医学書院. Potter, Patricia A. and Perry, Anne G.(1991). BASIC NUSING THEORY AND PRACTICE (second edition).Mosby Year Book.670. Potter, Patricia A.and Perry, Anne G.(1997).FUNDAMENTALS OF NURSING CONCEPTS PROCESS AND PRACTICE(fourth edition).Mosby Year Book.1018. |
| 公表先: | 大橋久美子.(2008).床上安静中の入院患者の朝の生活の構造. 聖路加看護学会誌. 12(1).9-17 |
| 注記: | 聖路加看護大学大学院看護学研究科修士課程 修士論文 2006 菱沼典子 継続比較研究 質的記述研究 要旨、引用・参考文献あり |
| リンクURL: | http://hdl.handle.net/10285/1153 |
| 出現コレクション: | 2-1-c:修士論文(要旨、引用・参考文献あり)
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この研究成果の引用には次のURIを利用してください。:
http://hdl.handle.net/10285/1153
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